AnnieCannons 人身売買被害者によるweb開発サービス
Y combinatorの投資先を紹介しています。
第二回はAnnieCannon。人身売買の被害を受けた生存者たちにITを学ぶ機会を提供することにより、エンジニアとして成長させることを目的としたNGO(非政府組織)です。
検事のJessica Hubleyがスタンフォード大学で反人身売買活動を行なっていたLaura HackneyとともにAnnieCannonを立ち上げました。
二人が調査に訪れたミャンマーで人身売買被害者の話を聞くうちに、Hubleyは4つの共通点に気が付いたそうです。
AnnieCannons | Launching Brighter Futures
While interviewing trafficking survivors, Hubley quickly realized that the vast majority of trafficking stories, regardless if the person was in Myanmar or California, came down to a particular formula:
The person’s vulnerability was outside of his or her control. The person was desperately seeking work. Someone convinced the person to trust a false offer of opportunity. The trafficker controlled the person’s movements and exploited him or her.
www.huffingtonpost.com彼らを現場から救うために最も有効なのが、エンジニアのスキルを学ぶことだと彼女らは考えました。なぜならば、それが現在求められているスキルであるからです。ただ、資金にも限りがあり全員に同じような教育を提供することはできません。そのため、各地のシェルターにいる被害者を意欲や能力によって選抜し、トレーニングをしている模様です。
カリキュラムはGithub上にアップされており、誰もが閲覧可能です。基本的なインターネットリテラシーから、htmlやcssといったフロントの言語や主にjavascriptを用いた開発、機械学習などのカリキュラムが用意されています。
プログラミングのブートキャンプをただ提供するだけでなく、長期的なサポートや就職支援まで行っていることが特徴です。NGO自身が受託開発を行うだけでなく、個人でもweb開発の仕事を行えます。それと同時に卒業生たちはブートキャンプの教師としても活躍することでサイクルを構築しています。
極めて公共性が強いサービスで、積極的に寄付を募っています。5000ドルあれば、一人の被害者に十分なITトレーニングを与えられるそう。金銭だけでなく、AnnieCannon卒業後の”職”の寄付も受け付けています。
考察と感想
営利目的ではなく、このような公共性の強いNGOにもY Combinatorは投資をしていることを知りませんでした。日本ではあまり馴染みのない人身売買の問題ですが、東南アジアなどでは職を求める人々が騙され、奴隷労働や性労働を強いられるなど大きな問題です。
被害者が社会で自力で生活して行くためにITスキルを身につけさせるというのは非常に時代にあっていると感じます。エンジニアは常に人不足と言いますし。インタビューの中でHubleyも従来シェルターで行なっていたような陶芸や宝石細工の指導では今後生きる力にはならないと指摘をしています。
この課題を打破するために必要なのは何としても資金。それを得るためには、現在の受講生たちがしっかりと優秀なエンジニアとして働ける=有効な人材輩出機構だということを証明する必要があるのだろうと思います。
第二回はやや雰囲気が違ってしまいましたが、これで終わろうと思います。