Y Combinatorの投資先

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Meru Health スマホで鬱を癒すメンタルヘルスケアサービス

Y Combinatorの投資先を紹介しているブログです。事業や起業のアイデア、レポートのネタにぜひどうぞ。
 
 
 
 
 
第七回はMeru Healthフィンランド発のスタートアップで、スマートフォンを通じてのメンタルセラピーを提供しています。
 
 
世界中で鬱は大きな問題となっています。WHOによると30億以上の人が鬱に悩まされ、26億の人が不安障害に苦しんでいるそうです。
 
 

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image credit: Meru Health


 

概要

 
創業者のKristian RantaさんとAlbert Nazanderさんは共に鬱で家族を失っており、その経験がこのサービスを始めるきっかけになったようです。Y Combinatorでは2018年の春クラスに所属しています。現在はカリフォルニアとフィンランドのみのサービス提供です。
 
 
 
 
 
 
 
 

プログラムと機能

 
 
Meru Healthはオンラインでのメンタルクリニックです。専用のアプリを通じて専属のセラピストと連絡を取り、それぞれの治療プログラムを進めていきます。
 
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image credit: Meru health
 
 
 
プログラムは基本的に八週間の長さで、
 
 
・マインドフルネス(瞑想)
・行動活性化療法
 
 
を組み合わせて、個人に合わせて構成されます。70年代にマサチューセッツで開発されたストレス軽減法をもとにしているとのこと。
 
 
 
アプリを通じて資格を持つ担当セラピストと連絡を取ることができ、患者さんを元気付け回復できるよう手助けを行います。
 
 
また、患者同士のコミュニティもあり、匿名でありつつもお互いが鬱と戦う姿を励まし合うことができます。
 
 
 
 
 

マネタイズ

 
料金プランは一通りで、
 
$590/8週間のプログラム
 
となっています。
 
二週間で打ち切りを利用者が決めた場合は100 %の返金を行なっていることも特徴です。
 
 
 
 

展望

 

“Many people achieve remission after eight weeks,” Ranta said. “Many people do get better and stay better. It’s surprisingly effective for many people. The core thing there is, in general, in psychological treatments, like psychotherapy and these mindfulness-based interventions, they tend to be more effective on a longer term keeping people better, not relapsing.”

 

https://www.mobihealthnews.com/content/palo-alto-medical-foundation-taps-meru-health-digital-therapeutic-depression

 
Rantaによると、多くの利用者が八週間のプログラム終了後には効果を感じているとのこと。また、一時的なごまかしではなく長期的に効果のあるプログラムを提供していくことがメンタルセラピーには大切だと語っています。
 
 
 
公式サイトには86%が8週間のプログラムをやり遂げ、75%が効果を感じているという調査結果が記されています。
 
 
 
 
フィンランドでは学生の鬱が問題になっています。学生たちの健康を管理するフィンランド学生健康機構 ?(Finnish Student Health System)は、Meru Healthを用いてデジタルセラピーがどのくらい学生たちの鬱に効果があるかの実証実験を行っているそうです。
 
良い結果が出ればさらなる拡大が見込めそうですね。結果が出なくても、大規模な実験ができたことは大きな資産になると思います。
 
 
 
 
 
 
 

考察

 
FinTech, AIときて今回はヘルスケア領域のサービスです。どれも近年非常に注目されていると思います。
 
 
 

 

オンラインでのセラピーということで、skypeでセラピストと話すといったものをはじめ想像していましたが、基本的にはマインドフルネス(瞑想)をもとに自分で行うプログラムのようです。一見効果が薄いような印象を受けましたが、利用者はしっかりと効果を体感しています。
 
 
一人ではなかなか続かないのでプロの伴走者がいるというのはこころ強いですね。やれ、って言ってもらえることの大切さ。筋トレのライザップはその典型かと。
 
 
 
 
 
 
西欧ではカウンセリングが盛んなだけでなく、洋ドラでも瞑想のシーンとか出てくるようになりましたし、メンタルヘルスケアが自然な習慣として向こうでは広まってきていると思います。
 
 
 
反面日本はまだまだです。精神論が減ってきてはいるとはいえ、メンタルヘルスに関して自己の弱さのように感じてしまったり、カウンセリングに行く人は相当病んでいる人というようなイメージがあったりします。要はメンタルブロックがものすごく分厚いんですね。 (ちなみにファッションメンヘラは大嫌いです)
 
 
 
手軽というか身構えずに日本人がメンタルヘルスケアに望めるようになるにはどうすれば良いんですかねぇ.....
 
 
 
 
 
 
 
最後に書いておきたいのはフィンランドの国ぐるみの取り組みについてです。
 
Clash and Clanを知っていますか? スマホゲーです。これを作ったのはSupercellというフィンランドの会社です。(今はソフトバンクが買収したのち売却してテンセント(中国企業)のものになってたりもしますが。)
 
200億ドル以上の企業に成長したSupercellの成功を踏まえ、フィンランドは国としてスタートアップへの投資を強化したとのこと。その中でもヘルスケア領域には注力しており、このMeru Healthもその一つです。
 
 
 
スタートアップの成功はカリスマ起業家がうまれるかうまれないか、どの国に生まれるかの運でしかないようにみえて、その確率を上げて行くような国ぐるみの取り組みは非常に有効だと思います。
 
 
 
頑張れ日本政府。
 
 
 
活動していることは知っていますよ。でも電車の吊り広告にあるスタートアップフェアみたいな広告めっちゃ胡散臭くないですか…?
 
 
終わり!